100→0を目指す
戦略経営計画
FUSION25
2015年、COP21で今世紀後半に温室効果ガスの排出量を実質ゼロにし、世界の平均気温上昇を産業革命前に比べて2°C未満に抑えるという「パリ協定」が締結された。2018年、ダイキンはそのパリ協定に賛同し、2050年までにカーボンニュートラルをめざす「環境ビジョン2050」を策定した。
長期的目標である「環境ビジョン2050」を達成するため、2025年を最終年度とする実行計画「FUSION25」では成長戦略3テーマ、強化地域1テーマ、経営基盤強化5テーマの計9テーマを設定。
このページでは「FUSION25」の全体像から「100→0」に向けたダイキンの具体的戦略を紹介する。
策定の前提
外部環境変化を大きなチャンスと捉え、自社の強みを活かし、更なる成⻑発展をめざす
外部環境の変化
- 環境・社会貢献の重要性の高まり
-
•ESG投資、SDGs達成に向けた取り組みがグローバルで拡大
•脱炭素化の動きが加速、温暖化ガスへの規制強化
•空調の需要は2050年までに3倍増
- 消費がモノからコトへシフト
- •価値感が「商品の所有」から「体験・経験」へ
- 空気・換気に対するニーズの広がり
- •安全・安心、健康・快適な空間がニューノーマル社会に定着
- デジタル、AI、5Gなど技術の革新的進歩
-
•新たな商品・サービス、ビジネスモデルの出現
•ものづくり、SCM、営業活動など業務プロセスの革新
•働き⽅改革(リモートワークなど)
ダイキン独自の
強み
- 省エネ・環境技術
- •インバータ技術、ヒートポンプ技術、低温暖化冷媒
- 空気関連技術
- •空気清浄、除菌、フィルタ、換気
- 世界に拡がる強固な販売網
- •161ヵ国で事業展開
- 地産地消のモノづくり
- •グローバル105以上の生産拠点
- 経営⼒・組織⼒
-
•⼈を基軸におく経営
•独自性を追求する経営
•ダイバーシティマネジメント
- 企業風土・行動原理
-
•フラット&スピードの経営
•コアマン&サポーターの関係
VALUE
私たちの
目指す
創造価値
- 経済価値
-
2025年度全社目標(イメージ)
売上3.6兆円
営業利益4,300億円
(営業利益率12%)
- 環境価値・社会価値
-
CO2実質排出量の削減
25年目標(成り⾏き⽐)30%以上
⼈類を暑さ、寒さから解放
顧客と直接繋がり、⽤途ごとのニーズに応える
安全・安心、快適な空気・空間の提供
食品ロス削減に貢献
国際ルールづくりへの貢献
従業員・地域の成長に貢献
成長戦略
カーボンニュートラルへの挑戦
2018年に「環境ビジョン2050」で宣言した、「2050年までにカーボンニュートラルを実現する」との目標達成に向けて、2019年を基準年に設定し未対策のまま事業成長した場合の排出量と比べて(成り行き比)温室効果ガス実質排出量を2025年に30%以上、2030年に50%以上の削減をめざす。
環境先進技術を確立しカーボンニュートラルに道筋をつけ、社会的責任を果たすとともに、ヒートポンプ暖房・給湯機、インバータ化など省エネ機器の普及拡大による消費電力削減への貢献、冷媒の低GWP化や回収・再生のエコサイクル構築などに取り組む。
ヒートポンプ暖房・給湯事業は、欧州と北米を最重点地域と位置付け、空調事業で培った技術を活かし、燃焼式暖房・給湯からヒートポンプ式へのシフトを加速する。市場拡大とCO2削減への貢献が期待できるスマートシティプロジェクトへの参画や創エネなど環境新事業にも挑戦する。
成長戦略
顧客とつながるソリューション事業の推進
・空調ソリューション…多様な顧客ニーズに対応し、機器だけでなく、コントロール・エンジニアリング・サービスなどを組み合わせたコト売りのビジネスモデルに変革する。病院や工場など用途・市場別にユーザと直接つながり、機器運転データの活用、エネルギーマネジメントやIAQ技術を組み合わせることによって、個別最適な空間の提供や快適性・安全性の向上など新たな価値提供に取り組む。
・低温ソリューション…空調事業で培ってきた省エネ・環境技術を横展開する。空調や低温機器、店舗設計やメンテナンスも含めた独自の店舗ソリューション事業の確立や、生産地から消費地までコールドチェーン全体をつなぐ事業に挑戦し、食品ロスの削減や食の安心・安全といった社会課題に貢献する。
成長戦略
空気価値の創造
・空気・換気の一大事業化…空気・換気需要の高まりをチャンスと捉え、グループを挙げてグローバルで市場を創造。新たな商品やサービスを創出し、空気・換気の一大事業化をめざす
・暮らしを豊かにする空気・空間の創造…空調データとバイタルデータを蓄積・分析し、心身の健康に対する空気・空間の価値を創出
強化地域
北米空調事業
空調事業は各地域での展開を拡大していくが、最大市場である「北米空調事業」では、今後の環境規制やエネルギー効率規制など環境政策の強化が予想されている。
市場のインバータ化、ヒートポンプ化、低GWP冷媒化を推進し、住宅用、ライトコマーシャル事業での省エネ機器の拡大、大型空調機(アプライド・ソリューション事業)でソリューションを本格展開し2025年度に北米市場No.1をめざします。
経営基盤強化
技術開発力の強化
FUSION25に紐づけた重点4領域(成長戦略3領域+将来に向けたテーマ1領域)を設定し、新規テーマにリソースを重点的に配分
・技術のコントロールタワーであるテクノロジー・イノベーションセンターを中心とした社内外の協創によるプロジェクトで技術開発を推進し、成果創出を加速
・海外開発拠点のさらなる強化や、イノベーションを推進する人材の獲得・育成に取り組み、グローバル全体で事業貢献を加速
経営基盤強化
強靭なサプライチェーンの構築
グローバルサプライチェーンの寸断や世界規模でのデカップリングの進行など、不確実性が急速に高まるなか、供給体制の盤石化を図る
✓ 地産地消に向けた、地域主体での調達へのシフト
✓ リスクに備えた並行生産・バックアップ体制の構築
✓ デジタル活用によりサプライチェーン情報を一元化し、最適なSCMを実現
経営基盤強化
変革を支えるデジタル化の推進
デジタル投資を大きく拡大し、新たな商品・サービス・ビジネスモデルを創出するとともに、業務プロセスを抜本的に革新。
ダイキン情報技術大学を中心に、デジタル人材を1,500人育成
(1) ビジネスイノベーション
✓ ソリューションビジネスを拡大するため、データをつなぎ、解析するためのプラットフォームを構築
ー 空調ライフサイクル全体で価値を提供するための顧客情報管理の仕組み など
✓ 機器のコネクテッド化を推進し、機器データを取得することに加え、外部とも連携しながら、人や建物のデータなど、今後の事業拡大につながるデータを取得
(2) プロセスイノベーション
✓ エンジニアリングチェーンマネジメント、サプライチェーンマネジメント改革
✓ 開発プロセスの革新
ー 化学事業における、マテリアルズ・インフォマティクスを活用した商品・材料の開発 など
✓ 経営基盤の高度化に向けたシステム構築
✓ RPAやAIを活用した間接業務の効率化
経営基盤強化
市場価値形成・アドボカシー活動の強化
空気の新たな価値創造に向けて、大学、研究機関、業界を巻き込み、安心・安全の新たな基準作りに取り組む。
カーボンニュートラルの実現や空気質への貢献など、社会課題解決につながる当社の技術や商品に対して幅広いステークホルダーの共感を獲得し、持続的に市場価値を高める。
R32やインバータ機の普及率が低い地域での普及拡大の推進や、地球温暖化抑制に向けたヒートポンプ化の加速、冷媒回収・再生の推進などに取り組む。
経営基盤強化
ダイバーシティマネジメントの深化による人材力強化
ダイキンの成長・発展の基盤である「人を基軸に置く経営」をベースとする企業文化、組織のDNAを、時代の変化に合わせさらに磨きをかけ、グループ全体に徹底・浸透をはかる。
世界中で活躍する一人ひとりが、多様な個性、無限の可能性を最大限に発揮し成長できる人事施策を展開する。新型コロナの影響で働き方や生活のあり方が変わるなか、ニューノーマル時代に合った、生産性を高め新たな価値創造につながる仕組みづくりを実行する。